迷惑行為は迷惑千万

 2004年12月18日、土曜日。私は、戸塚発10時21分の東海道本線
上り普通列車(796M。熱海→東京。113系電車11両編成)に乗った。

 8号車(上り列車は先頭が11号車)の前寄り乗降口から乗り込んだ。車内
は、けっこう混雑している。

 奥の方には余裕があるのに、乗降口付近に50代くらいの男性が居座り、動
こうとしないので、私は、その男性を避けて、奥へ入った。

客 客 客    客 客 客
    2番線ホーム
━━━━━━━━━━━━━━
━━━━┯ 乗降口 ┯━━━━
 座席 │   ↓ │ 座席
────┘ 避 ← └────
      け↓ ●その男性
 車内   て↓
      乗 →○私
他にも乗客 車   他にも乗客

     こんな具合

 東海道本線上りの列車は、戸塚駅では、2番線の発着であり(※1)、乗降
口は進行方向に向かって左側である。そして、横浜駅では、7番線の発着であ
り(※2)、乗降口は戸塚駅と同じく進行方向に向かって左側である。

 私は、桜木町に用事があったので、横浜で降りることにしていた。

 横浜で、左側の乗降口の扉が開いた。先刻から乗降口付近に居座っていた男
性は、横浜で降りるのであれば何ら問題はないのだが、降りようとはしない。

 横浜駅では、かなり多くの乗降客がいるわけであるが、その男性は、乗降客
に乗降口を譲ろうとせず、相変わらず、乗降口付近に居座ったままである。

 前述のとおり、私は、横浜で降りたかった。そして、車内には、私と同じく
降りようとしている客がたくさんおり、また、ホームには、呪うとしている客
がたくさんいた。そこで、乗降口付近に居座っているその男性を、ちょっと肘
で横に押して、ホームへ降りた。

 すると、その男性が、車内で、何か文句を言っているのである。

 当初、文句の内容は、よく聞き取れなかったのであるが、どうやら、私が、
明らかに乗降の邪魔になっているその男性を肘で押した行為を“暴力”と表現
しているようであり、また、私に対して「常識がどうのこうの」などと批判し
ているつもりらしい。

 冗談じゃない。明らかに乗降の邪魔をしている人を押しのけて乗降するのが
“暴力”であるのなら、乗降の邪魔をするのは更に悪質な“暴力”である。ま
た、公共交通機関で他の客の乗降の邪魔をするような輩に、常識について論じ
てほしくはない。

 で、桜木町へ行く用事は、急ぎではなかったので、私は、もう一度、車内に
乗り込み、その男性に、状況を説明し、理解を求めた。

 理解してもらわないと、同じような乗降妨害を繰り返す虞があり、迷惑千万
だからである。

 かくして、お節介な私は、横浜で降りる予定だったのに、川崎まで行くこと
になったわけである(※3)。

 もっとも、おそらく、その男性は、私のような者のことなど、すぐに忘れ、
また悪質な乗降妨害を繰り返すであろうし、仮に、忘れなかったとしても、そ
れは、「“常識”に反する不届きな者」としてであろう。

 しょせん、今の世の中なんて、そんなものである。

 ちなみに、昔、年配の人たちの間で「今の若いもんは・・・」などという言
葉が交わされることがあったが、今の世の中では、このような社会のルールを
守れない人って、どちらかと言うと年配の人に多い(※4)。

 例えば、禁煙タイム(※5)に喫煙をしたり、喫煙所以外の場所や禁煙の車
内で喫煙をする人って、若い人より、年配の人の方が多い(※4)のである。

 世の中、変わったね。

 ここからは蛇足。

 私も、こんなことを繰り返していると、いつか逆恨みで刺殺されるに違いな
い。そんなことは、わかっている。

 どうも、最近、性格に棘が多くなっている。よくないな。

 今年は前厄で来年は本厄(※6)だから、気をつけて、多少の迷惑行為には
目をつぶることにして、まぁるくならなければ。



※1 “湘南新宿ライン”の列車は、横須賀線の線路を通るため、1番線の発
  着である。

※2 列車本数が多い時間帯の一部の列車や、特急や快速に追い抜かれる列車
  は、8番線の発着となる。また、“湘南新宿ライン”の列車は、横須賀線
  の線路を通るため、10番線の発着である。

※3 私は、「戸塚−桜木町」と「横浜−品川」の通勤定期券を持っている。
  従って、「横浜で降りる予定だったが川崎まで乗った」という行為は、不
  正乗車ではない。

※4 精確な統計を取ったわけではないので、正確には、「・・・ように見受
  けられる」などの語尾を付加すべきであろう。

※5 JR東日本の、首都圏の通勤,通学に使われる駅では、平日の7時から
  9時までなど、通勤,通学のため混雑する時間帯を、“禁煙タイム”と称
  し、駅構内を、喫煙所を含めて全面禁煙としている。

※6 1964年に生まれた私は、この文を書いた2004年には、数え年で
  41歳になっている。



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