無視してはならない架空請求


 従来、架空請求については、請求されるいわれがない(架空請求であること
が間違いない)のであれば無視すべきであるとされてきました。

 ところが、最近、巷で、有料サイトの利用料金などの支払いを要求する少額
訴訟を起こすという新たな手口の架空請求が増えているそうです。

 少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払いを求める民事紛争を、その額に
見合う少ない費用と短かい時間で解決するものです。簡易裁判所において裁判
が行われ、原則として、1日のうちに、全ての審理が行なわれ、判決が出され
ます(ただし、提起から審理までは、おおむね40日ほどかかります)。

 具体的には、裁判所から呼び出し状(『口頭弁論期日呼出および答弁書催告
状』)が送られてきます。裁判所からの送付ですので、従来の架空請求業者か
らの『最終通告』などのようなハガキ1枚とかではなく、“特別送達”と呼ば
れる特殊取扱の郵便物として届くことになると思います。

  その「裁判所の指示」は本物?

 もちろん、被告人に、支払いを要求される理由がないのであれば、架空請求
に間違いないので、支払う必要はないということになるのですが、この呼び出
し状が届いたら、従来の架空請求業者からの『最終通告』などとは異なり、
対に、無視して破棄したりしてはいけません
。何もしないまま、指示された期
日に裁判所に出廷しないと、敗訴となり、改めて、裁判所の命令(判決)とし
て架空請求の金銭を支払わなければならなくなります。

 この判決が、一旦、出されてしまうと、控訴をすることはできません(ただ
し、2週間以内に異議申し立てをすることはできます)。

 もし、支払いを要求される理由がないのに、この呼び出し状が届いたら、以
下に示す手続きを行なって下さい。

 1 専門家(弁護士など)に、裁判の進め方について相談します。出廷しな
  ければ負けとなりますので、出廷することを前提として下さい。

 2 呼び出し状に記載されている裁判所の担当書記官に連絡し、架空請求の
  疑いがある旨を報告します。その際、呼び出し状に記載されている連絡先
  を鵜呑みにせず、他の手段により連絡先を調べるなど、念には念を入れて
  慎重に行動して下さい。

   裁判所  各地の裁判所

 3 お近くの警察に連絡します。被害届などの諸届については、警察の指示
  に従います。

 4 呼び出し状に記載されている日時に、裁判所に出廷します。前述のとお
  り、仮に、架空請求であることが明らかであっても、放置してはいけませ
  ん。なお、裁判所が遠方であり、出廷することが困難である場合は、裁判
  所にその旨を説明し、近くの裁判所への移送を求めることができます。

 業者の目的は、請求先(被告人)を法廷に立たせて審理をすることではあり
ません。

 日本の裁判所はバカではありません。支払う必要がない金銭を「支払え」な
どと命令することはあり得ません。

 そもそも、架空請求なのですから、仮に、被告側が出廷し、審理が行なわれ
れば、業者(原告)は、その請求の根拠を示すことができない(根拠は存在し
ない)のですから、間違いなく、被告側の勝ちとなります。

 従って、業者は、むしろ、被告側が要求どおり出廷すると困るという、おか
しな立場にあるのです。

 業者の目的は、請求先(被告人)が出廷しないことにより「支払う」という
意思表示をすることです。前述のとおり、出廷しなければ、自動的に、負けと
なります。ですから、くどいようですが、架空請求だからと言って無視しては
絶対にいけません


 他に、少額訴訟の提起ではなく支払督促の申し立てがされるケースもありま
す。前述の少額訴訟の場合の呼び出し状の代わりに“支払督促”の文書が、こ
れも、裁判所から“特別送達”の郵便物として送られてきます。

 対処としては、基本的には少額訴訟の場合と同じく、第一に、専門家(弁護
士など)に相談すべきです。

 支払督促の場合は、文書を受け取ってから2週間の間に異議申し立てをすれ
ば、通常の民事訴訟に移ります。異議申し立てをしなければ、少額訴訟の場合
と同じく、督促の申し立てをした者の主張(架空請求であっても)が一方的に
認められてしまいますので、これも、絶対に、無視してはいけません


■ 日本弁護士連合会(日弁連)
  http://www.nichibenren.or.jp/

■ 国民生活センター
  http://www.kokusen.go.jp/



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